おばばとみのりが金の大根碑がある本陣跡地緑地に行くと、青い目をした黒猫が大根の下で眠っていた。
みのりが近づいてそっと撫でると、黒猫は目を覚まし、身を翻して去っていった。
「みのりちゃん、今日はそろそろ帰ろうか」
「はーい」
みのりは疲れてしまったのか、おばばと手をつなぎトボトボと歩き出した。
「おばば!さっき知らないところでね、あの猫ちゃんとたくさん遊んだの!」みのりが言うと、
おばばはそれを知っていたかのように聞いた。
「よかったわね!楽しかった?」
「うん!また遊びたいな」
みのりはさみしそうに答えた。
ずっと昔、おばばが幼かったころ。
今日と同じような夕暮れ時。公園で遊んでいたおばばは、帰りたくないと駄々をこねて泣いていた。すると、きれいな青い目の黒猫が現れ、追いかけていくうちに見知らぬ場所に辿り着き、猫と一緒に遊んだことがあった。
そんな記憶を、おばばは思い出していた。
あの猫は、ここ北町で泣いている子どもと遊んでくれる、不思議な猫なのかもしれない。
「きっとまた遊べるよ」
おばばは、懐かしそうな顔でみのりと一緒に家に帰っていった。
END